2005年 新年のご挨拶 NPO法人ACN 代表 田嶋 猛
あけましておめでとうございます。平素からACNレポートをご支持いただきありがとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年の日本の増養殖業界は養鰻業界を除き全魚種で生産者価格低迷に苦慮した1年でした。春先には在庫量の減少から高値が予測されたトラフグに至っては元来価格上昇が始まる12月に逆にキロ物が3,000円/kgを割り、一部の客先からは半年先の予測もできないのかと叱咤される始末でした。国産トラフグの減少分のみでなく質的にも中国産が補完したためこのような結果になりました。昨年の年初に国産品が見直される機運と書きましたが国産品であればそれで良いわけではありません。流通業界は供給体制、価格、品質を総合的に評価して取り扱い先を決定します。トラフグに限らず種苗輸出から中間魚輸出に移行しつつあるカンパチについても中国での養殖が発展しフィレー加工されて輸入されるでしょうし、マダイに至っても肉質改善が進めば加工品輸入量は増加するでしょう。
では国内養殖業界はどうなるのでしょうか? 内水面養鰻業を例に取ってみるとよく分かると思います。最盛期(1988~1991年)には約39,000トン生産していましたが2001~2003年には約22、000トン(△44%)と激減しています。国内生産及び輸入量は活鰻換算で110,000トン(1990~1993年)だったものがピーク時(2000~2001年)には160,000トンとなり現状では110,000トンに落ち着いています。この10年間養鰻業者は過酷なサバイバルレースの中で徹底したコストダウンと品質管理を続けた結果、中国産との差別化に成功し産地ブランドを確立しています。海面増養殖業は今まさに容赦ない淘汰の波の真只中にいますが今こそこれまで培った世界トップの英知を結集してこの荒波を乗り切りましょう。