養殖用種苗生産速報 -2003年9月~12月 中間速報- ACN総評
■マダイ
成魚原価割れ続き種苗生産低迷
2002年夏から下落した価格は2003年も回復しないまま越年した。キロ物浜値が500円/kgを切っているところもあり最悪の状況である。
年間出荷5000万尾と供給が減少しているなか熊本のニチモウファームが生産を中止しているが山崎技研・近畿大学・ヨンキュウ等の大手や熊本県の業者等17社が例年通り生産中である。
■ヒラメ
成魚荷動き悪く、種苗導入意欲は低調
年内(9月から12月末)のヒラメ稚魚の出荷尾数は過去最低の約250万尾であった。
9月初旬より本格的に種苗生産が始まったが種苗生産者数は19社で年内出荷業者はまる阿水産、長崎種苗等14社であった。
平成5、6年頃の年内出荷尾数 約1000尾(年間2300万尾)と比べると今シーズンは1/4に激減している。
このことから、平成9年の8500トンのピークから平成14年6200トンに減少する過程での養殖業者・種苗業者の魚種転換・廃業があり、直近2年間でその傾向が更に加速していることが推測される。
稚魚の価格は7cmupが主流で浜値(運賃・税別)11円~12円/cmで始まり12月下旬から10円/cmで販売されている。昨年のヒラメ稚魚導入尾数(約950万尾)の市場があるとすればあと700万尾見込めるが需要も供給もこの数量以下になりそうである。
種苗生産での奇形や白化は例年通り発生しているもののウイルス等の疾病発生状況は昨年と比べ少ない。
■トラフグ
早期ものに強い引き合い
年末までの超早期種苗は大島水産種苗含めて3社が約40万尾出荷したのに続き、年明けから長崎種苗はじめ数社が出荷中である。早期ものは南宇和など冬季水温条件のいいところのみならず長崎などでも導入する傾向がみられる。陸上養殖尾数はホルマリン問題以降急増傾向にあり早期物需要が見込まれる。
昨年12月までの超早期物の浜値は105~110円/尾、サイズ6cm up、(但し一部80円/尾も出回った)。年明けから100~105円/尾と5円安となっている。海面養殖の歩留まり低下は深刻になっており、それに伴い中間魚の需要は活発であった。昨年11月出荷の中間魚浜値は550~660円/尾 サイズ250~300g/尾 (キロ単価 2,200円)。
中国産は成魚以外に中間魚の輸入も活発になっており価格は国産の半値であり種苗業者にとってはその動向が気になるところである。
■シマアジ
各社とも順調な滑り出し
ここ数年の種苗供給量不足を反映してシマアジは青物で唯一人気魚種となっており、今シーズンも各社が一斉に種苗生産を開始した。なかでもノグチフカは年内出荷可能な超早期種苗を仕上げている。マリーンパレスも年末、年始にかけて150万尾沖出しをしており近畿大学、山崎技研を含めてVNN等のトラブルはなく各社とも順調な滑り出しである。
<敬称略>